金融機関との関係は重要取引(仕入)先との関係と全く同じです。特別な存在ではありません
【日繰り資金繰り表】ができても資金繰りがショートするまでに時間のない会社の場合は、緊急手当てを施す必要があります。
期日に支払うべき1000万円のお金が必要なのに、700万しか用意できないとき、あなたならどうしますか?
選択肢は二つです。会社外から不足する300万円を手当するか、その日に不足する300万円の支払うのをやめるかです。
ここで落ち着いて、一息入れてよく考えてください。この段階で経営者であるあなたの目的はなんですか?
支払期日をクリアーすることだけが目的であれば、どんな手段であっても会社外から手当すれば済むことですが、目的が経営再建・企業再生であれば、この選択では倒産への先送りでしかありません。
倒産による犠牲者が経営者だけならまだ構いませんが、ここで会社外からの借り入れを起こすことによって、家族や親戚、友人があらたに連帯保証人になり、犠牲者を増やすことになります。
易きを選択すれば、のちにその苦労がついてくるのは世の常です。
あなたの会社が資金繰りに窮しているのは、今の経営力で必要なお金を生み出すことができないからです。
資金繰りに困らないときは、経営者は新たに学んだり、やり方を変えることには消極的です。
しかし、経営危機から脱出するために、経営者は必死になって基本的なの経営知識や能力を身につけながら、経営再建・企業再生するしか手はありません。
ですから、「中小企業再生プログラム(旧、経営再建プログラム)」を成功させた会社の多くが健全企業から、無借金会社など優良企業に変わっていくことが出来るのです。
それでは、不足の300万円を【日繰り資金繰り表】の期日の支払いからジャンプさせていく優先順です。その際に最も重要なことは、「支払う順序を間違えない」ということです。
どうしても支払額が足りなってしまう時は、企業によって若干の違いはありますが、原則的には次の順に支払いを延期する以外にありません。
企業の個別事情の判断については考慮していませんので、無料経営相談や有料経営診断などでご相談ください。
- 借入金の返済
- 経営者の報酬
- 租税公課
- 電気・ガスなどの公共料金
- 事務維持に要する最低限の諸経費
- 買掛金
仕入先や外注先などへ支払うべき残高を指します。中小零細企業では資金繰りが難しくなると、、厳しい苦情を言われないから、金融機関への返済より先に支払いを延期するケースが多く見受けられますが、順番は全く逆です。また、事前にお願いして、支払期日などを交渉することが原則です。倒産の危機ですからある程度信用が崩れるのはやむをえません。会社の信用が大きく崩れ信用をなくすと当然、以後の仕入や外注が難しくなり、場合によっては前金でしか仕入れられなくなる可能性もあります。そうすれば、資金繰りは今以上に悪化します。 - 従業員の給与の減額や遅配
これを従業員の了解をなしにやることは厳に謹んでください。再建計画を説明しその協力を取り付けてください。彼がが知りたいのは、いつ払えるのかと今後会社はどうなるのかということです。 - 手形のジャンプ
手形が2回落ちなければ、金融機関との取引が停止され、事実上の倒産となってしまいます。流通業の一部では、手形を落とせなくて金融機関の取引停止になっても、現金仕入れで凌いだという例もありますが、よほどの精神的な強さがある人でないとおすすめできません。
支払い優先順序の中で最も大きなポイントとなるのは、「借入金の元金返済は一番最後」ということです。多くの経営者が間違ってしまうのはこの点です。なぜなら、「元金を返済しないと、金融機関から取引を停止されてしまうのでは?」という不安を抱いてしまうからです。
金融機関との関係は重要取引(仕入)先との関係と全く同じです。特別な存在ではありません。お互いに信頼関係を築くべきですし、過度に恐れたり、敵対したりすることは間違っています。当然信頼すべき重要取引先ですから、現状を理解してもらい、お互いに言いたいことを言い、できないことをはっきりいうべきです。
ですから絶対に無断で返済をストップしない。必ず事前に、金融機関へ相談する必要があります。
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