「金融対策」
金融対策は緊急資金繰り対策とは異なりますがここでは再建計画書を提出するという条件で述べていきたいと思います。
私は『中小企業再生プログラム(旧、経営再建プログラム)』においては、基本的に金融機関のリスケは出来るだけ避けて再建策を模索していきますが、重症や重体の場合はこれを避けて資金繰りが解消できることはほとんどありません。
金融機関との交渉で最初に心して置かなければいけないことがあります。それは、金融機関との交渉の「姿勢(スタンス)」です。
基本的な交渉の姿勢は
見栄やプライドを捨てて粘り強い交渉を続ける。
再建のための交渉はほとんどの場合「約定変更」のための交渉ですので、金融機関がすんなりと変更条件を飲んでくれるということはまれです。担当者によっては見下したような態度で応答してくるときもありますが絶対にキレないことが肝要です。
銀行マンには相手先のことを考えず、自分の保身しか考えない人もいますが、本当に顧客の身になって提案してくれる方も大勢おられます。
これはあなたの会社の他の取引先の担当者でも同じはずです。
頭から金融機関は敵だとか、反対に、金融機関の言うことは全て受け入れなければいけないという極端な考えは捨て去ってください。
お願いするのではなく、こうすれば絶対に再建できるということを「再建計画書」を示して熱意を持って訴えることです。
そのために「再建計画書」の作成には、対策項目の数字の一つ一つに
「このようにすれば実現できる」という具体性があることが必要です。
担当者に決裁権限がないといっても相手も人間です。
キレることなく熱意を持って交渉すれば本部や支店長に対する報告書や上申書の書き方も違ってきます。
「返さない」と「返せない」の違いを明確にしておくことです。
「返さない」のは善悪や商道徳の問題ですが、「返せない」のはビジネスの問題であり、罪悪感を持たないことが重要です。
もちろん返せなければビジネス上の約束違反ですので放っておけば担保の競売や連帯保証人への請求ということになりますが、ビジネス上の問題ですので条件変更や繰り延べは当然のことながらできます。
それなのに「返せない」から個人お貯金を崩したり、町金融や商工ローンから借りてきて金融機関の返済に充てるなどということは私に言わせれば、責任感のある経営者ではなくて、無知なだけです。
金融機関主導型の新たな借り入れや借り換えをしない
多くの金融機関は正常先以外から新規借り入れや借り換え一本化の要請があった場合、渡りに船と自らの保全に走るのが実情です。
例えば、プロパーを「増額融資しましょう」といって保証協会付きに切り替えようとしてきます。気がつけばメインバンクといいながら金融機関が自らリスクをとった融資はまったくなくなっているという会社が意外と多いのです。
資金繰り難に陥っている経営者は、新たな借り入れや借り換えの際、目先のお金のことばかり考え金融機関の言われるままの新規借り入れや借り換えををしてしまいがちです。
少なくとも3年ごまでのキャッシュフローを考えて新規の借り入れや借り換えを行わなければ、数年後には今以上に厳しい資金繰り状態に陥る恐れがたぶんにあります。
絶対に嘘をつかない。
今までついていた嘘は、この機会に思い切って正直に、さらけ出してしまいましょう。
「不義にして富み且つ貴きは我に於いて浮雲の如し。」(「論語」述而第七)
「天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさず」
次回は、粉飾決算についてです。
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