資金繰り対策の原則
資金繰り対策で最も基本的な原則は、一時の感情や軽はずみな判断で、場当たり的な行動をしないことです。
自分や家族の預貯金や保険を切り崩して会社にお金を入れたり、カードローンやノンバンクから借入したりすることは、絶対にやめてください。
「倒産への負の連鎖」に陥り、最悪の倒産に突き進んでしまいます。
また、金融機関から新たに借入をしたり、返済条件の変更(リスケジュール)を行うのもお待ち下さい。中長期的計画性のない金融機関交渉も、やはり最悪の倒産へ向かって進む道でしかないからです。
経営者のみなさんが資金繰りのために何よりも最初に行わなければならないことは、
「何月何日にいくら資金が足りなくなるのか」
「いつまで資金が続くのか」
ということを正確に把握することです。
そのためには、「日単位」の資金繰り表を作ることしか方法はありません。
経営改善プログラムや経営再建プログラムを進めていけば
【長寿幸せ企業PDCA事業計画書TM】 「月単位」の資金繰り表が作成されますが、
極めて資金繰り状態の悪い緊急時には「日単位」の資金繰り表が必要となるのです。
それはなぜでしょうか?
まず、次の「月単位」資金繰り表を見てください。
入金 支払い 繰越残高
3月 100万円
4月 300万円 300万円 100万円
5月 500万円 500万円 100万円
5月までの支払いは問題なさそうに思いますね。
では、次に【日繰り資金繰り表TM】を作成してみると
入金 支払い 繰越残高
3/31 100万円
4/20(A社へ支払い) 100万円 0万円
4/20(B社へ支払い) 200万円 -200万円
4/30(C社から入金) 300万円 100万円
5/30(D社へ支払い) 500万円 -400万円
5/31(E社から入金) 500万円 100万円
【日繰り資金繰り表TM】を見ると、まず4月20日に200万円の資金が足りず、さらに5月20日に400万円の資金が足りないことがわかります。
資金不足になる日とその金額がひと目でわかるので、事前に資金繰り対策を行う準備をすることができます。
しかし、これを「月単位」の資金繰り表にしたらどうなるでしょうか?
実は次のようになります。
月単位の資金繰り表では、資金不足の予測ができないのです。
そのため、支払い直前になって初めて、
「あっ、今度の20日に資金がショートしてしまう……どうしよう!」
とオロオロしてしまうのです。
もちろん、急に資金を集めようとしても思い通りにいくのは至難の業です。
さらに、この例で言えば、たとえ4月20日に足りない200万円を工面したとしても、5月20日にまた資金不足がやってきて、さらにうろたえるということになります。
ですから、経営再建プログラムの最初に、日単位の資金繰り表を作成して、
「何月何日にいくら資金が足りなくなるのか」
「いつまで資金が続くのか」
をしっかりと把握する必要があるのです。
では、何カ月先まで日単位の資金繰り表を作成しておけばいいのでしょうか? それは、
- 現金取引の場合は少なくとも3カ月先まで
- 手形を発行している場合は少なくとも6カ月先まで
の資金繰り表を作成しておく必要があります。
【日繰り資金繰り表TM】作成してはじめて、
「いつ資金不足(資金ショート)がやってくるかわからない恐怖」
から解放され、落ち着いた気持ちで対策を立てることが可能となります。
2018年の 井上経営研究所のはてなブログ
「小さな会社の経営者の「苦しみ・悩み」を解決・・経営救急クリニック」
は今回で終了です。
2019年は1月4日19:00にアップを予定しています。
新元号元年を「生まれ変わる」改革元年にするために
このブログをはじめ井上経営研究所が少しでもお役に立てれば幸いです。
井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に
- 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする
このサブ事業として、後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、
第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業 - 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、
永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業を
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