【旅費交通費】
出張費や日当も再チェックが必要です。
経営危機に陥る会社の多くは、旅費規定や出張規定が存在しない会社です。
出張の宿泊に関しても、会社から決めるのはせいぜい管理職は一泊〇〇円、一般社員は〇〇円を守るように支持しているぐらいで、従業員が旅費精算書を出せばそのまま支払っているのが現状でしょう。
日常的な交通費、出張旅費、出張手当などについても、改めて現状を見直し、新しいルールをつくる必要があります。そのポイントは次のようになります。
・タクシーや自家用車利用のルールづくり
・出張旅費の再チェック
・出張手当の再チェック
・ホテル、航空券、JRなどの予約方法
なかでも宿泊施設や交通機関の見直しは大きな効果があります。
出張の目的によって使用するホテルや交通手段が違ってきますし、日程が変更される可能性の低いセミナー参加などのホテルや交通機関は早目に予約すれば支払額がうんと安くなります。
近場の営業でJRや地下鉄などで何度も乗り降りをするのであればのであれば、一日回数券やフリーきっぷなどの検討も必要です。
できれば宿泊の予約や切符の手配などは、営業の従業員が個別にするのではなく経理に一元化させることを考えてみてください。
それにはまず、経理と旅費交通費を使用する従業員が集まって、インターネットなどで普段使う交通機関の運賃などのついて調べ、前期の元帳の旅費交通費の仕訳伝票をまな板の上に置きながら、どうすればもっと費用を安く済ませられ、尚かつ、従業員の交通宿泊機関の手配に取られる作業の無駄も省くことが出来る方向でルール化していくことが大切です。
【地代家賃】
貸主も楽なところは少ないですが値下げ交渉は絶対行うべきです。
この種の交渉は金融交渉と同様に粘り強い交渉が必要になります。
1回や二回の交渉で相手がすんなり値下げに応じてくれるとは考えないでください。
小売・サービス業以外では移転も視野に入れるべきです。
売上や人員がピークの時の状態のだだっ広い事務所や倉庫を依然として使いつづけている企業は考えなければなりません。
特に倉庫は「倉庫がなければ経営が維持できないか」を基本に判断してください。
倉庫がなくなったり小さくなれば自然と在庫を洗いなおす必要が出て来て、資産負債対策上も効果があります。
【接待交際費】
経営状況の悪化に加えて、資金繰りをさらに悪くしている要因に、「経営者の見栄とプライド」があります。
そしてその見栄とプライドは、多くの場合、この接待交際費に現れます。
みなさんの会社では、経営者個人のプライドを保つための経費が発生しています。
たとえば、ロータリー、ライオンズクラブ、JCなどは退会することも視野に入れてください。
これらの会の価値は認めますが、そのために会社が倒産してしまったら、元も子もありません。
「~会費」「~協会費」とつくものも要注意です。全くその必要性を検討することもなく
「先代からずっと支払っているから・・」とか
「このくらいは・・」とかいうものも全てまな板の上に載せてみてください。
「この接待交際費をカットすればすぐに営業や売上に支障をきたす」以外はすべてゼロにしてください。
【保険料】
一番判断が難しい経費科目です。一社ごとに、経営者の年齢や会社の経営状態により全て対策が変ってきますのでここで一般論を述べるのはやめておきますが「企業再生のときの基本的姿勢は会社の保険は解約し、個人の保険は継続方法を検討する」ことです。ご相談頂ければ個別にアドバイスさせて頂きます。
【諸会費・雑費】
一番訳の分からない経費が発生する科目です。
「困ったときの雑費扱い」といわれるぐらいの科目ですから一項目ずつ「ものさし」を当ててチェックしてみてください。
「日繰り資金繰り表」を作成していればかなりの経費削減することが出来ます。
その上で、それら一つひとつについて「本当に必要か否か」をチェックしてください。必要か否かの判断基準は、以前書いた通りです。
(1)「この経費を使わなくても売上高や粗利益額に大きな影響が出ない」と思われる経費については、0円に削減する。
(2)「この経費を使わないと売上高や粗利益額が落ちる」と思われる経費については、削減しない。
(3)判断がつかない場合は、減額を検討する。
(4)商品・サービスの品質、安全性、信用性など、会社の根幹に関わるような経費は絶対に削減しない。
【支払利息割引料】
この科目も「金融対策」で詳しく述べていきますのでここでは説明しません。
各科目ごとの経費削減の基本的な考え方は以上の通りなのですが、
「いざ、経費削減」と取り掛かっても経営者だけでは、いや幹部や社員と協議しても、ほとんど「経費節約」出来るだけで「経費削減」までにはいたりません。
なぜなのでしょう?
答えは 経営者や幹部、社員と経費の間に利害関係が生じるからです。本当の意味での経費削減を実行するにはそれらを「ものさし」を使い、俯瞰的に判断するに人間が必要です。ですから私が参加すると、絞りきった雑巾からまだまだ不必要な水(経費)が出てくるのです。
実際に、中小企業再生や経営改善プログラムの経費削減対策会議に私が出席させていただくと、中小企業再生や経営改善プログラムの費用の何倍もの経費が削減できる場合がほとんどなのです。
もちろん経費削減対策会議は過去1年間の元帳を1項目ずつすべてチェックしますので最低でも丸1日を要すくらいの作業になります。
経費削減の際の重要なポイントは、すべての科目を一律に削減するのではなく、大幅削減科目、削減科目、現状維持科目、増額科目が生じてくるということです。
ここでも経営再建(改善)のキーワードである「選択と集中」が必要となってくるのです。
今回は以上ですが、ここからお知らせです。
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