経営危機に陥って資金繰りに苦しんでいる会社の多くは、売上さえ戻れば何とかなると考え、また目先の資金を確保するために原価割れの受注をしたり、極端な割引セールをする傾向があります。いうまでもなくこれらの売上対策は「最悪の倒産」への負の連鎖の道を走るのに加速度をつけるだけです。
【仕入対策】
売上対策はあくまで利益を伴った売上対策でなければなりません。不思議なことに危機に陥った会社は経費の削減には血眼になるのに最大の変動費である仕入についてほとんど手を打たれていません。
年商10億円粗利益率20%(粗利益額2億円)の会社の売上を5%上げるのは前述の原価を無視した方法以外即効策はありえません。たとえ5000万円の売上が増えたとしても粗利益率が1%ダウンすれば10億5000万円×19%=1億9950万円の粗利益額になってしまいます。さらに売上5%を上げるためには営業経費や販売経費がかさんできます。
原価率を下げるためには仕入先との交渉なども必要になるでしょうが、仕入先にしても支払いの繰延や債権の棚上げ、手形のジャンプなどを要請されるよりも納得できる再建計画を提示して期限付で原価率を下げる協力をされるほうが余程安心感があります。もちろんそれまでのあなたの会社と取引先の信頼関係により協力度は大きく変わりますし、再建計画書についてもあくまでも金融機関などに提出する再建計画書と同じもので数字あわせでなく実現に可能性のあるものでなければなりませんが…。個々の商談については【もっと負けろ】と常々言って交渉しているのに基本的な仕入条件について交渉するのはビジネス上の問題であり何ら恥ずかしいことで張りません。
【売上対策】
それでは売上をアップする方法がないのかと言えば答えはNOです。いくらでもあります。但し、速攻策はないと思ってください。あなたの会社がいつも過去の成功体験と同じ売り方をしている限りも売上が伸びることは永久にないと考えて下さい。
20世紀までは顧客は商品の充足を求めていました。ほとんどの商品やサービスの品質は一定以上のレベルまでになり、価格も一部の安く売れる仕組みを持っている大企業を除いてはほとんど何処で買っても変わらなくなりました。商品が売れなくなったのではなく欲しいものがなくなったのです。
「競合店が増えた」、「デフレで価格競争が厳しい」なんて言うのは自己を正当化するための言い訳にしか過ぎません。心理学で言うところの「合理化」です。
合理化:自分の判断や決定が誤りだったとわかったとき、それを認め様とはせず、なんらかの口実や理屈をつけようとする。自分の立場や行動を正当化することで自分の価値を保持しようとする。
大企業や大手のチェーンストアーとの比較などいますぐにやめてください。21世紀の世の中に必要とされる会社になるためには売上高の大小より顧客の支持率(結果として営業利益率で現れる)を重要視しなければなりません。たとえば同業種の大型店があれもこれも置いているからといって同じ品揃えにすれば小型店であるあなたの店は大型店のミニチュア版になってしまいます。顧客は広くて快適な大型店を選ぶはずです。短絡的に価格競争していけば「しくみ」の持たないあなたの会社の利益が吹き飛びます。
基本的な充足商品があふれている現在【顧客は常に新しいモノ(商品・技術・サービス・情報)を求めている】のです。
それではどうしたら新しいモノを提供することが出来るのでしょうか?
答えは
【人はなぜモノを買うのか】を理解することにあります。
「商い」の発祥を紐解けば答えは「不便の解消」が最初だということが分かります。農耕民族がタンパク源を得るために穀物を狩猟民族と肉や魚に交換していたのが非常に不便なためそれを仲介するものが生まれました。どんなに時代が進もうとも、いや逆に、進めば進むほど顧客の不便が新たに発生します。これを発見し解消するモノを提供すれば顧客のほうから「売ってください」と言われるようになるのです。
顧客のニーズは常に変化しつづけています。あなたの会社が20世紀と同じモノを販売していたのではどんなに金融対策や経費対策をやろうとも世の中から消えていくのは天地自然の理です。
安く売って売上を創るのは一番簡単なことです。しかし安く売って儲けるのは一番難しいことなのです。そこには「安く売るしくみ」が必要になるからです。
「利益を伴った売上対策」再建対策の上でもっとも重要な柱の一つです。債権者との折衝ほどの精神力は必要ありませんが、失敗しても何度も新たな試みに挑戦する忍耐力が必要です。ハウトゥ書籍に書かれているものをそのまま導入されてもまず成功する可能性はありません。ほとんどの「経営再建」の書籍やセミナーで経営コンサルタントと称される方はではこの肝心なところについてほとんど触れていません。いや避けているといってもいいかもしれません。なぜなら、彼らの多くは経営者の経験がない学者や税理士やサラリーマンであったからです。
竃「来事業の吉岡先生が
「『経営をしたことがない人が経営を語らんでくれ』
『倒産をしたことがない人が倒産をしゃべらんでくれ、それは罪悪である』なぜなら、現象はわかっても“経営者のこころ”“経営者の気持ち”は分からないからである。この根本的なことが理解できずに、“どうしたらよいか”を思い悩んでいる経営者に適切で役に立つ指導は出来ないと思う。私は“経営は経験の科学”であると信じている」
と喝破されていますが、まさに同感です。
私に依頼される中小企業は、販促などにこれ以上経費をかけられないし、ましてや新規に投資する資金なんてあるはずがありません。しかしながら、ないないづくしのあなたの会社が利益を伴った売上をあげる方法は「頑張る」ことではありません。
「商いの本質」「購買の心理“人はなぜ物を買うのか”」を理解し、そのために「道具」をどううまく使うか「脳みそに汗をかく」ことなのです。
私のアドバイスする「利益を伴った売上対策」にしても即効果などは期待できません。そのために「再建プログラム」を組むのですから・・・。
このデフレ下でも一部の中小企業は非常に元気です。彼らは決して自らの商品・技術・サービスを安売りしません。
私が和歌山県の南部の田舎在住というハンデを負いながら、ホームページのみで全国の多くのクライアント様からご依頼があるのも、私自身この対策を実践しているからです。
しかし「利益を伴う売上対策(新販促システム)のヒントはホームページやメルマガでお教えしますので「脳みそにいっぱい汗をかいて」これだと思われたことはあなた自身の手で研究・実験してみてください。
●「商いの原点」とは
不便を解消すること。もっと正確に言うと“物を買うという行動は物そのものに価値があるのではなく、その物が生み出す【コト】に価値がある”ということです。例えば、最近の車のコマーシャルを見ても分かるように車そのものの馬力や燃費については訴えていません。訴えているのはこの車を買うとあなたの生活はこんなシーンになるということです。
あなたの会社はお客様にどんな【コト】を提供しているのか熟考してみてください。
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